クロージングの前提条件と前後の義務

契約日と引渡し日が離れるとき、何を条件にし、その間に何を禁止し、当日に何を渡すのか。申請ではなく完了を条件にする書き方を中心に整理します。

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要点:許認可や名義変更は「申請」でなく「完了を示す書面の受領」を前提条件にします。クロージング予定日と解除できる最終期限を別に書き、契約日以後の禁止行為には通常業務の例外を置きます。

このページの要点

  • 前提条件は「満たす責任を負う人」と「満たしたことを示す資料」を決める
  • 申請と完了を区別し、完了を示す書面の受領を条件にする
  • 予定日と最終期限を分け、禁止行為は列挙して通常業務を例外にする
  • 条件が満たされないときの放棄・延長・解除・返還の道筋を書く

結論:契約日とクロージング日が別なら、間に「条件」と「禁止」を置き、当日の順序を決める

譲渡の契約は、署名した日にすべてが終わるとは限りません。署名の日(契約日。サイニングともいいます)と、代金の支払と引渡しが実際に行われる日(クロージング日。実行日ともいいます)が、数日から数か月離れることがあります。その間に、取引先の承諾を取る、許認可の手続を進める、融資の実行を待つ、株主総会の承認を受ける、といった準備が進むからです。

この離れた期間があるとき、契約書に書くべきことは三つに整理できます。一つ目は、クロージングを実行するための前提条件(これが満たされなければ実行しない、という条件)です。二つ目は、契約日からクロージング日までの間に売主が守る義務と、してはならない行為です。三つ目は、クロージング日当日に、何を、どの順序で、誰が渡すのか、という手順です。三つが揃うと、取引は予定どおり終わるか、予定どおり終わらなければ巻き戻せるか、のどちらかに整理できます。

契約実務の経験をもとに言うと、不備が出やすいのは、前提条件の書き方です。「許可の申請を行うこと」を条件にしてしまい、申請しただけで代金の支払に進んでしまう書き方や、条件が満たされなかったときの扱いが書かれていない書き方が、よく見られます。このページでは、前提条件の組み立て、停止条件や期限の法的な意味、同時履行、契約日以後の禁止行為、当日の書類、条件が満たされなかったときの処理を順に整理します。譲渡の全体の流れは事業譲渡と株式譲渡の違いに、承継の仕組みは契約・賃貸借・許認可・個人データの引継ぎにまとめています。

契約日からクロージング日までの流れ(一般的な例)

  1. 契約日(署名)譲渡の対象、代金、前提条件、期限、禁止行為などを定めた契約を結ぶ。この時点では代金も引渡しも未了のことがある。
  2. 準備の期間売主は取引先の承諾、貸主の承諾、許認可の手続、社内の承認を進める。買主は資金の手当てを整える。双方が条件の達成状況を報告し合う。
  3. 条件の確認前提条件がすべて満たされたか、書面で確認する。満たされない条件があるときは、放棄するか、期限を延ばすか、解除するかを決める。
  4. クロージング日(実行)代金の支払と、資産・契約・書類の引渡しを、定めた順序で同時に行う。必要書類を交換し、受領書を取り交わす。
  5. 実行後移転の完了確認、取引先や関係機関への通知、引継ぎ協力の開始、代金の留保分の管理などを進める。

契約日とクロージング日が同日の取引では、前提条件の段階は短くなりますが、考える項目は同じです。

前提条件の書き方:「申請」ではなく「取得・完了」を条件にする

前提条件とは、これが満たされない限り、当事者はクロージングをする義務を負わない、という条件です。よく置かれるのは、取引先や貸主の承諾の取得、必要な許認可の取得または承継の完了、株主総会などの社内手続の完了、買主の資金調達の完了、売主の表明保証が引き続き真実であること、事業に重大な悪化がないこと、などです。

ここで最も大切なのは、「手続を行ったこと」と「手続が完了したこと」を区別することです。名義の変更、許認可の承継、登記などの手続は、申請した日と完了した日が一致しません。審査に時間がかかることもあれば、不備を指摘されて補正が必要になることも、受け付けられないこともあります。前提条件を「申請をしたこと」としてしまうと、申請さえすれば条件を満たしたことになり、完了しないまま代金の支払が進みます。後になって完了しないことがわかっても、代金はすでに払われたあとです。

書き方の例(一般的な例) 前提条件の書き方

許認可の手続

よくある書き方売主は、クロージング日までに、必要な許認可の承継の申請を行う。
整えた書き方売主は、クロージング日までに、必要な許認可の承継について、所管の行政庁から承認または受理の通知を受け、その写しを買主に交付する。これを前提条件とする。

理由申請と完了は別であり、完了した事実を示す書面を決めておくと、条件が満たされたかどうかの争いを避けられるため。

貸主・取引先の承諾

よくある書き方売主は、貸主その他の取引先の承諾を得るよう努力する。
整えた書き方売主は、別紙に掲げる貸主および取引先から、書面による承諾を得て、その写しをクロージング日の○営業日前までに買主に交付する。これを前提条件とする。

理由努力義務では条件にならず、満たされたかどうかも判断できない。誰の承諾を、どの形式で、いつまでに得るかを書く。

保証の真実性

よくある書き方売主の表明保証が真実であること。
整えた書き方契約日およびクロージング日の各時点で、売主の表明保証が、重要な点において真実かつ正確であること。

理由契約日だけでなくクロージング日の時点でも確認する。「重要な点において」の基準は、別途、数値などで補う。

事業の悪化がないこと

よくある書き方事業に大きな変化がないこと。
整えた書き方契約日以後、売上その他の別紙に掲げる指標が、契約日時点に比べて○%以上悪化していないこと。

理由「大きな変化」では判断基準がなく、売主と買主で食い違う。指標と数値を置く(数値は取引ごとに協議して決める)。

前提条件は、満たす責任を負う人も決めます。「売主が満たすべき条件」と「買主が満たすべき条件」と「双方が満たすべき条件」に分けて書くと、誰が動けばよいのかがわかります。買主の資金調達の完了などは買主の条件ですし、貸主の承諾の取得は通常、売主の条件です。もう一つ重要なのは、条件を放棄できる人を決めておくことです。条件が満たされなかったときに、その条件で守られている側だけが放棄して、クロージングに進めるようにしておくと、軽微な条件のために取引全体が止まる事態を避けられます。

前提条件の例と確認資料

条件満たす責任満たしたことの確認資料書き方の注意
貸主の賃借権譲渡の承諾売主貸主の承諾書の写し承諾の範囲(条件付きかどうか)も確認する。賃借権の扱いは契約・賃貸借・許認可・個人データの引継ぎを参照
許認可の承継売主(買主の協力が必要な場合あり)承認・受理の通知の写し申請でなく承認・受理を条件にする
株主総会の承認売主(譲渡会社)議事録または決議の写し承認が必要かどうかは会社法の事業譲渡の手続で確認する
株式の譲渡承認売主承認の通知の写し譲渡制限株式の場合。株式譲渡の手続を参照
買主の資金調達買主融資の実行の確認、残高の証明融資を条件にする場合の期限と扱いは譲渡対価と価格の調整を参照
保証の真実性売主売主の確認書契約日とクロージング日の両方の時点で確認する

停止条件・解除条件・期限:民法の考え方を契約に当てはめる

前提条件を、法律の言葉に直すと、停止条件にあたる場合が多くあります。民法127条1項は、停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる、と定めます。解除条件付の場合は、条件が成就した時からその効力を失います(同条2項)。契約の効力そのものを条件にかけるのか、それとも契約は有効に成立させたうえで、実行の義務だけを条件にかけるのかで、条件が満たされなかったときの形が変わります。

実務では、契約は署名の日から有効に成立させ、クロージングの実行(代金の支払と資産の引渡し)を前提条件にかける書き方が多く使われます。この形にすると、秘密保持、費用の負担、禁止行為、独占交渉、解除と代金の返還の規定は、契約日から効力を持ちます。契約全体の効力を停止条件にかけてしまうと、条件が成就するまで、これらの規定の効力も生じません。

条件・期限・履行に関する条文(民法)

民法127条

停止条件付の法律行為は、条件が成就した時から効力を生じ、解除条件付の法律行為は、条件が成就した時から効力を失う。当事者が成就の効果をさかのぼらせる意思を示したときは、その意思による。

契約書では契約の全体を条件にかけるのか、実行の義務だけにかけるのかを区別して書く

民法130条

条件の成就によって不利益を受ける当事者が故意にその成就を妨げたときは、相手方は条件が成就したものとみなすことができる。利益を受ける当事者が不正に条件を成就させたときは、成就しなかったものとみなすことができる。

契約書では条件の成就に協力する義務と、成就を妨げない義務を契約に明記すると、争いが減る

民法135条

始期を付した法律行為は、期限が到来するまで履行を請求できず、終期を付した法律行為は、期限が到来した時に効力が消滅する。

契約書ではクロージングの期限(これを過ぎたら解除できる日)を日付で書く

民法412条

確定期限があるときは、期限の到来した時から遅滞の責任を負う。

契約書では「クロージング日までに」と日付を決めておくと、遅れた側が遅滞の責任を負う起点が明確になる

条文は e-Gov法令検索で確認しています。

期限についても、書き方の工夫が必要です。前提条件が満たされるのに時間がかかる場合を見越して、「クロージング予定日」と、「これを過ぎたら当事者が解除できる最終期限」を別に書くことがよくあります。予定日が過ぎても、最終期限までは取引を続ける余地を残し、最終期限を過ぎても条件が満たされなければ、どちらの当事者も解除できる、という二段構えです。最終期限を書かないと、条件が満たされない状態が続いている間、当事者がいつまでも拘束されたままになります。

民法130条は、条件の成就を妨げる行為への備えとして押さえておきます。たとえば、買主が資金調達を条件にしていたのに、融資の申込みを意図的に行わなかった、というような場合に、売主は条件が成就したものとみなすことができます。ただし、これは争いになったあとの事後的な根拠ですから、契約では、条件の成就に向けた協力義務(必要な書類を出す、申請を行う、承諾を求める)を具体的に書いておくと条件を成就させやすくなります。

同時履行と、代金・引渡しの順序

クロージング日に、代金の支払と引渡しを同時に行うのが、安全性の高い形です。民法533条は、双務契約(互いに債務を負う契約)の当事者の一方は、相手方が履行を提供するまで、自己の債務の履行を拒むことができる、と定めています。これが同時履行の抗弁です。事業譲渡や株式譲渡の代金の支払と、資産・書類の引渡しは、本来この関係に立ちます。ただし、事業の譲渡では、引き渡すものが多数あり、渡す方法もさまざま(現物の引渡し、名義の変更、権利の移転の通知など)ですから、「同時」とは何を意味するのかを、契約書で具体的に書く必要があります。

代金と引渡しの順序の考え方

同時に行う(原則)

  • クロージング日に、代金の支払と引渡しを同時に行う
  • 当日の手順(誰が何を、どの順番で渡すか)を契約または別紙に書く
  • 受領書を取り交わし、完了の時点を明確にする
  • 渡せないものがあれば、除外または後日の引渡しとして書き分ける

順序をずらす(例外)

  • 代金の一部を後払いにする、または一定期間留保する
  • 名義の変更の完了を待って、残代金を支払う
  • 一部の資産の引渡しを、後日(取引先の承諾後など)とする
  • ずらした部分は、担保や返還の約束を併せて書く

後払いにするときは、支払が遅れたときの扱いや、期限の利益、担保の設計が別途必要になります。分割や後払いの設計は、この契約ガイドでは価格の決め方の観点から譲渡対価と価格の調整で整理しています。

同時履行にするときの落とし穴は、「どの時点で引渡しが終わったとするか」が決まっていないことです。店舗や設備なら鍵や現物の引渡し、契約の地位なら相手方の承諾の取得、データなら移行の完了、というように、資産の種類ごとに完了の基準が違います。契約書には、移転の完了を示す書面(受領書、承諾書の写し、移行完了の確認書など)を決めておきます。支払の条件を「申請」でなく「完了を示す書面の受領」にする、という考え方は前提条件と同じです。

契約日からクロージング日までの禁止行為と、通常業務の例外

契約日からクロージング日までの間に、売主が事業の価値を下げる行為をすると、買主が買うつもりだった事業と、実際に引き渡される事業が違ってしまいます。そこで、この間の売主の義務を決めておきます。民法400条は、特定物の引渡しを目的とする債務では、債務者は引渡しまで善良な管理者の注意をもって物を保存する義務を負う、と定めます。事業の譲渡でも、売主は、事業を通常の方法で維持する義務を負う、と契約に書くのが一般的です。

書き方には二つの落とし穴があります。一つは、「大幅に変化させない」「重大な影響を与えない」といった曖昧な表現です。何をもって大幅、重大とするのか基準がないため、売主が通常の経営判断をしても、買主が違反だと主張できます。もう一つは、通常の業務の範囲内であれば許される、という例外が書かれていないことです。例外がないと、売主は日常の取引まで買主の同意を求めなければならず、事業が止まります。

書き方の例契約日以後の売主の義務(一般的な例)

  1. 売主は、契約日からクロージング日までの間、善良な管理者の注意をもって、本事業を従前と同様の方法で運営し、その財産、取引先との関係および従業員との関係を維持する。
  2. 売主は、次の各号の行為をしようとするときは、事前に買主の書面による同意を得なければならない。ただし、通常の業務の範囲内で行う行為は、この限りでない。(1)別紙に掲げる資産の処分、担保の設定その他の負担の発生 (2)一定額を超える支出または債務の負担 (3)重要な契約の締結、変更、解除 (4)従業員の報酬その他の待遇の変更 (5)本事業に関する紛争の和解
  3. 売主は、前提条件の充足に影響を及ぼすおそれのある事実を知ったときは、遅滞なく買主に通知する。

「一定額」「別紙」の部分は、取引ごとに数字や項目を決めて埋めます。禁止する行為を列挙し、通常の業務は例外と明示するのが、売主・買主の双方にとって運用しやすい書き方です。

この義務に違反したときの効果も決めておく必要があります。違反が前提条件の不充足にあたるのか(買主がクロージングを拒めるのか)、解除の理由になるのか、損害賠償の対象になるのか。これらを書かないと、違反があっても買主が取れる手段が不明確になります。反対に、売主の側から見ると、軽微な違反までクロージングの拒否や解除の理由にされないよう、「重要な点において」「是正を求めても一定期間内に是正されないとき」といった絞りを付けるのが一般的です。

クロージング当日に渡す書類

クロージング当日は、代金の支払とあわせて、さまざまな書類が行き交います。書類の準備が漏れていると、当日に取引が進まなくなります。そこで、契約書の別紙として、当日に交付する書類の一覧を付けておくのが実務でよく見られる書き方です。一覧は、事業譲渡と株式譲渡で内容が違います。

クロージング当日に交付する書類の例

区分事業譲渡の場合株式譲渡の場合
契約関係譲渡契約書、別紙目録、受領書、取引先・貸主の承諾書の写し株式譲渡契約書、受領書、株式の譲渡承認の通知の写し
権限の確認代表者の権限を示す書面、社内手続の議事録の写し同左、株主名簿の写し、株券発行会社なら株券
移転の書類名義変更に必要な書類、鍵、設備の引渡しの確認書、データの移行完了の確認書株主名簿の書換えに必要な書類、役員の変更に関する書類の準備
確認書前提条件の充足を確認する書面、売主の保証が真実である旨の確認書同左、辞任する役員の辞任届の写し
その他代金の支払の確認、留保代金の管理の合意同左

株式譲渡で役員が入れ替わる場合、役員の変更に伴う手続は、クロージングの前後に別途進められます。契約書の上では、辞任届や就任承諾書といった書類を当日に誰が出すのかを一覧に載せておけば足ります。株式の譲渡そのものの手続は株式譲渡の手続で整理しています。

署名前に確認したいこと(クロージング関係)

  • 前提条件の一つ一つについて、満たす責任を負う人と、満たしたことを示す資料が決まっている。
  • 許認可・名義変更・登記などの手続が、「申請」でなく「完了を示す書面の受領」を条件にしている。
  • クロージング予定日と、解除できる最終期限が、日付で別々に書かれている。
  • 契約日以後の禁止行為が列挙され、通常の業務の範囲内の行為が例外として書かれている。
  • 曖昧な語(大幅、重大、速やかに)に、数値や期間などの基準が付いている。
  • 当日に交付する書類の一覧が、別紙として付いている。
  • 条件が満たされなかったときの扱い(放棄、延長、解除、代金の返還)が書かれている。

条件が満たされなかったとき:放棄・延長・解除・代金の返還

前提条件が最終期限までに満たされなかったとき、契約は次のどれかの道をたどります。条件で守られている側が条件を放棄して実行に進む、双方が合意して期限を延ばす、どちらかが契約を解除する、のいずれかです。契約書には、この三つの道と、それぞれの扱いを書いておきます。

解除については、民法の既定もあります。債務不履行があれば、民法541条により、相当の期間を定めた催告をしたうえで解除でき、一定の場合は542条により催告なしで解除できます。解除の意思表示は相手方に対して行い(民法540条)、解除すると各当事者は相手方を原状に復させる義務を負います(民法545条1項)。金銭を返還するときは、受領の時から利息を付さなければなりません(同条2項)。ただし、前提条件が満たされないこと自体は、債務不履行ではなく、当事者のどちらの責めにも帰せない場合があります。この場合に、民法の一般的な解除の規定が使えるとは限りません。そこで契約書に、条件の不充足を理由とする解除権を書いておく必要があります。

確認の問いと理由条件が満たされなかったときに決めておく事項

  1. すでに支払った手付や内金は返すのか。

    返還の有無と時期を決めておかないと、「どちらの責めでもない不成立」のときに、返す、返さないの争いになる。手付の考え方は譲渡対価と価格の調整で扱う。

  2. 不成立までに生じた費用は誰が負担するのか。

    調査や書類作成の費用の扱いを書かないと、各自負担か、原因を作った側の負担か、不明確になる。

  3. 提供した資料や情報は返還・廃棄するのか。

    不成立になった後も、秘密情報が相手方に残る。返還や廃棄、秘密保持義務の存続期間を書く。

  4. 原因が一方にあるとき、損害賠償を請求できるのか。

    条件の成就に協力しなかった側に責任がある場合は、民法130条や415条の考え方を前提に、契約で責任を明確にする。

  5. 解除した後、同じ事業を別の相手に売ってよいのか。

    独占交渉の期間や、競業の制約が残っているかによって異なる。解除後の扱いを書いておく。

起きがちなこと

  • 許認可や名義変更の「申請」を条件にしたため、完了していないのに代金の支払が進み、取引が完了しない。
  • 前提条件を放棄できる人が決まっておらず、軽微な条件が満たされないだけで、全体が止まる。
  • 最終期限がなく、条件が満たされない状態が続いても、当事者がいつまでも拘束される。
  • 契約日以後の禁止行為に例外がなく、売主が通常の取引をするたびに買主の同意が必要になる。
  • 当日に必要な書類が一覧になっておらず、当日になって出せない書類が見つかる。
  • 契約が不成立になったときの手付や費用の扱いが書かれていない。

クロージングの定めは、取引が順調に進む限り、読み返されません。しかし、予定どおりに進まない場面でこそ、条件、期限、禁止行為、解除、返還の規定が使われます。実行後に問題が見つかった場合の補償は補償と責任の上限・請求期間で、実行後のトラブル全般は譲渡後のトラブルとよくある質問で整理しています。

よくあるご質問

契約日とクロージング日は、同じ日にできないのですか。

同じ日にしても構いません。取引先の承諾や許認可の承継などが不要で、資金の準備も整っているなら、署名と同時に代金の支払と引渡しを済ませる形も使われます。日が分かれるのは、承諾の取得、手続の完了、資金の実行などに時間がかかる場合です。日が分かれる場合に、前提条件と契約日以後の義務を書く必要が生じます。

前提条件と停止条件は同じものですか。

前提条件は実務の言葉で、これが満たされないとクロージングの義務を負わない、という条件を指します。民法でいう停止条件(条件が成就した時から効力を生じる)と重なる場合がありますが、同じとは限りません。契約全体の効力を条件にかけるのか、実行の義務だけを条件にかけるのかで、契約日から効力を持つ規定の範囲が変わります。

「大幅に変化しないこと」と書いてはいけませんか。

禁止する行為や条件に、基準のない語を置くと、売主と買主で解釈が食い違います。売上や利益などの指標と数値、または禁止する行為の列挙に置き換えると、何をすれば違反になるのかがわかります。同時に、通常の業務の範囲内の行為は例外として書いておくと、売主の日常の経営を妨げません。

条件が満たされなかったとき、手付は戻りますか。

契約に書いていなければ、民法の一般的な規定に任されますが、どちらの責めにも帰せない不成立の場合は結論が読み取りにくくなります。手付の性質、返還の有無と時期、費用の負担は、契約書に書いておくのが通常です。

株式譲渡でも前提条件は必要ですか。

株式譲渡でも、譲渡制限株式の承認、買主の資金の実行、売主の保証が真実であること、重大な悪化がないことなどを条件にすることが多くあります。許認可を持つ会社の株式を譲る場合は、会社の許可そのものは移りませんが、役員の変更の届出などが生じることがあるため、条文と所管官庁の資料で確認が必要です。

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