株式譲渡の手続:譲渡制限株式の承認請求、株主名簿の書換え、株券の交付、小さな会社の注意点

株式は売買の合意で移りますが、会社に株主として扱われるには、定款の譲渡制限、株券、株主名簿の手続が加わります。承認請求から名簿書換えまでの手順と、株式譲渡契約書に書く事項を整理します。

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定款に譲渡制限があるのを見落として売買を成立させると、買主は代金を払っても、会社から株主として扱われません。

このページの要点

  • 最初に定款と登記事項で、譲渡制限の有無と、株券を発行する旨の定めの有無を確認する(会社法107条、108条、128条、214条)。
  • 譲渡制限株式は、承認請求から決定、通知までの流れがあり、請求から2週間以内に通知がないと承認とみなされる(会社法136条〜139条、145条)。
  • 買主が株主として主張するには、株主名簿の書換えが必要(会社法130条、133条)。売主の協力義務と期限を契約書に書く。
  • 株式譲渡では会社の過去の負債も引き継ぐため、表明保証と補償を厚くする。売主個人の保証・担保・貸付金の精算も前提条件にする。

結論:株式譲渡は「株式が移る」と「会社に対抗できる」の二段で考える

株式譲渡は、株式を売る人と買う人の合意で成立します。会社の持ち主が替わるだけで、会社の資産、契約、許可は会社に残ります。この単純さが、小さな会社の売買で株式譲渡が選ばれる理由です。ただし、契約が成立しただけでは、買主は会社に対して株主として扱ってもらえません。株式の種類によって、会社の承認、株券の交付、株主名簿の書換えといった手続が加わります。

手続を整理すると、次の二段になります。第一段は、株式を有効に移すための手続です。定款に譲渡制限があれば会社の承認、株券を発行する会社であれば株券の交付が、それぞれ必要です。第二段は、移った株式を会社その他の第三者に主張するための手続で、株主名簿の書換えがこれに当たります(会社法130条1項)。契約書には、第一段と第二段の両方を、誰が、いつまでに行うのかを書きます。

このページでは、小さな会社の株式譲渡を念頭に、譲渡制限株式の承認請求から名簿書換え、契約書に書く事項と、クロージングで渡す書類までを、条文に沿って整理します。事業を一つずつ移す方式との違いは事業譲渡と株式譲渡の違いのページ、事業譲渡の会社法の手続は会社法の事業譲渡の手続のページ、会社を作っていない個人の事業は個人事業・店舗の譲渡契約書のページを参照してください。取締役の変更に関する登記の手続は、このガイドでは扱いません。

最初に確かめる:譲渡制限があるか、株券を発行しているか

株式譲渡の手続は、売主の会社の「定款」と「登記事項」を見ると、大半が決まります。確認する項目は二つです。

譲渡制限の有無

株主は、原則として、持っている株式を自由に譲渡できます(会社法127条)。ところが、株式会社は、定款に定めを置くことで、株式の譲渡による取得について会社の承認を要するものにできます(会社法107条1項1号、108条1項4号)。このような株式を譲渡制限株式といいます(会社法2条17号)。発行する全部の株式に譲渡制限がある会社は、公開会社ではありません(会社法2条5号)。中小企業の多くは、この譲渡制限を置いています。

譲渡制限の有無は、定款で確認できます。また、株式会社の登記事項には、発行する株式の内容(譲渡制限の定めを含みます)が含まれているため(会社法911条3項7号)、登記事項証明書でも確かめられます。売主が「うちの会社は自由に売れる」と言っていても、定款や登記を確認して、譲渡制限の有無を確定させます。

株券の発行の有無

株式会社は、定款で定めれば、株式に係る株券を発行する会社になることができます(会社法214条)。株券発行会社の株式は、株券を交付しなければ、譲渡の効力が生じません(会社法128条1項)。また、株券の発行前にした譲渡は、会社に対して効力を生じません(同条2項)。株券を発行する旨は、登記事項でもあります(会社法911条3項10号)。

小さな会社には、定款に株券を発行する旨の定めがあるのに、実際には株券を作っていない例が見られます。公開会社でない株券発行会社は、株主から請求があるまで株券を発行しなくてもよいとされています(会社法215条4項)。ただし、定款に定めがある以上、株式の譲渡には株券の交付が必要になるので、譲渡の前に株券を発行してもらう段取りが必要です。反対に、株券を発行する旨の定款の定めがなければ、株券の交付は問題になりません。

定款・登記で確認する項目と、手続への影響

確認する項目定めがある場合定めがない場合
譲渡制限会社の承認が必要。承認請求から始める(会社法136条〜139条)株主は自由に譲渡できる(会社法127条)
株券の発行株券の交付が譲渡の効力要件(会社法128条1項)。未発行なら先に発行を求める株券は問題にならない。株主名簿の書換えで足りる
承認機関取締役会設置会社なら取締役会、そうでなければ株主総会。定款で別に定めることもある(会社法139条1項)承認の手続は不要
承認の期間請求から2週間(定款でそれより短い期間を定めることも可)以内に通知しないと承認したとみなされる(会社法145条1号)—

譲渡制限株式の承認請求:誰が、何を請求し、どう決まるか

譲渡制限株式を売る株主は、株式を譲り渡そうとする相手が決まったら、会社に対して、その相手が株式を取得することを承認するか否かを決定するよう請求できます(会社法136条)。また、すでに譲渡制限株式を取得してしまった側(株式取得者)も、会社に対して、取得を承認するか否かの決定を請求できます(会社法137条1項)。ただし、この取得者からの請求は、株主名簿に株主として記載されている者などと共同でしなければなりません(同条2項)。

請求は、決められた事項を明らかにして行います(会社法138条)。売主からの請求では、譲り渡す株式の数、譲り受ける人の氏名または名称、そして、会社が承認しない場合に、会社または指定買取人に株式を買い取ってほしいときは、その旨です。この「買取りを求める旨」を書かないと、会社が不承認とした場合に、株式が売れないまま残ります。買取りを望むかどうかは、請求の段階で決めておく必要があります。

譲渡制限株式の譲渡承認の流れ(会社法136条〜139条、145条)

  1. 譲渡等承認請求売主が、株式の数、譲受人の氏名または名称、不承認の場合に買取りを請求するか否かを明らかにして、会社に請求する(136条、138条)。
  2. 承認機関の決議取締役会設置会社では取締役会、そうでない会社では株主総会の決議で、承認するか否かを決める。定款に別段の定めがあればそれによる(139条1項)。
  3. 結果の通知会社は、決定の内容を請求した人に通知する(139条2項)。
  4. 通知がないとき請求の日から2週間(定款でこれより短い期間を定めた場合はその期間)以内に通知しないと、承認の決定をしたものとみなされる(145条1号)。
  5. 承認されたとき売買を実行し、株式を渡し、株主名簿の書換えを請求する。
  6. 承認されないとき売主が買取りを請求していた場合、会社または指定買取人が買い取る手続に進む(140条)。

小さな会社で株主が少数の場合は、事前に議事録案や承認通知書の様式を用意しておくと、2週間という短い期間にも対応できます。

契約書との関係では、承認を得ることを、売主の義務として定めるか、買主が買主の権利として求めるか、承認が得られなかったときに契約をどうするかを書きます。売主が会社の唯一の株主であれば、承認は形式で済むことが多い反面、他に株主や取締役がいる会社では、その人たちが反対すれば承認は得られません。売主以外の株主がいる会社では、承認が得られる見込みを、売買の前に確認します。

条文の読み方:譲渡承認の請求に関する規定

会社法136条

譲渡制限株式の株主は、譲渡しようとする相手の取得を承認するか否かの決定を、会社に請求できる

契約書では契約書の前提条件に「承認の取得」を置き、取得の方法と期限を書く

会社法137条

取得した者からも請求できるが、名簿上の株主などとの共同請求が必要

契約書では売買後の請求になる場合の手続を、売主の協力義務として書く

会社法139条

承認の決定は取締役会設置会社では取締役会、そうでなければ株主総会。結果は通知する

契約書では誰の決議が必要かを、売主の定款で確認して条項に反映する

会社法145条

請求から2週間以内に通知しないと承認したものとみなされる

契約書では期間の経過による承認と、書面による承認の両方を、売買の成立条件として認めるか決める

承認されないとき:会社または指定買取人による買取り

会社が譲渡を承認しない場合に、売主が買取りを請求していたときは、会社は、対象となった株式を買い取らなければなりません(会社法140条1項)。この場合、会社は、買い取る旨と、買い取る株式の数を定めなければならず、その決定は株主総会の決議によります(同条2項)。この決議は、309条2項1号の特別決議にあたります。売主本人は、原則として、この株主総会で議決権を行使できません(同条3項)。

会社が自ら買い取る代わりに、会社が指定する第三者(指定買取人)に買い取らせる方法もあります(会社法140条4項)。買取りを通知するとき、会社または指定買取人は、1株当たり純資産額に買取株式の数を乗じた額を、本店所在地の供託所に供託しなければならず、供託を証する書面を請求者に交付します(会社法141条2項、142条2項)。供託の金額は、純資産額を基準にした額で、売買の価格とは別に決まります。価格について争いがある場合の手続は、条文に従って裁判所を使うことになります。

一定の期間内に、会社が買取りの通知を行わないと、承認したものとみなされます(会社法145条2号)。したがって、売主が買取りを請求したにもかかわらず、会社が通知を怠った場合には、承認の効果が生じます。もっとも、実務では、会社と売主が合意して別段の取扱いをすることもできます(145条ただし書)。

契約書の立場から重要なのは、「会社の承認が得られなければ、売主が株式を会社や指定買取人に売ってしまう」という状況を、買主が受け入れるかどうかです。買主は、承認が得られなかった場合の契約の効力(自動的に終了するのか、買主が解除できるのか)を決めておく必要があります。売主は、買取りを請求するか否か(請求すれば、承認されなかったときに株式を現金化できますが、買主への売却は実現しません)を、承認の請求の段階で判断します。

名簿書換えと、株券の交付:移った株式を主張するために

株式を取得した人が、会社や第三者に対して株主であることを主張するためには、その氏名または名称と住所を株主名簿に記載または記録する必要があります(会社法130条1項)。株主名簿は、会社が作成するもので、株主の氏名または名称、住所、株式の数、取得した日、株券を発行する会社であれば株券の番号が記載されます(会社法121条)。名簿を書き換えないと、会社に対して、株主総会の招集通知を受ける、配当を受けるなどの権利を主張できません。

名簿書換えは、原則として、株式を取得した人が、名簿上の株主(売主)またはその一般承継人と共同して、会社に請求します(会社法133条1項、2項)。売主の協力が必要なので、契約書では、売主が書換えの請求に協力することを義務として書き、請求の期限を決めます。例外として、株券発行会社の株式取得者が、株券を提示して請求する場合は、単独で請求できます(会社法施行規則22条2項1号)。ただし、譲渡制限株式の場合は、承認を受けていることなどの要件を満たしていなければ、この請求はできません(会社法134条)。

株券を発行する会社では、株式の譲渡の効力そのものに株券の交付が必要です(会社法128条1項)。株券の占有者は、その株券に係る株式についての権利を適法に有するものと推定され(会社法131条1項)、株券の交付を受けた者は、悪意または重大な過失がない限り、権利を取得します(同条2項)。したがって、売買の日に株券を渡し、受け取った側が、株券の番号と株主名簿の記載が一致していることを確認することが重要です。株券発行会社では、会社に対する対抗要件としての名簿書換えは必要ですが、会社以外の第三者に対しては株券の所持で足りる、という違いもあります(会社法130条2項)。

書き方の例(一般的な例) 名簿書換えの条項の書き方

名簿書換え

よくある書き方「甲は、株式の譲渡後、速やかに乙の名義に書き換える。」
整えた書き方「甲は、クロージングの日に、甲および乙が連署した株主名簿書換請求書を甲の責任で対象会社に提出し、対象会社は、同日付で、乙を本株式の株主として株主名簿に記載する。」

理由「速やかに」では期限が決まらず、誰が請求し、会社がいつ書き換えるのかも読み取れない。書換えの日と書類を特定する。

会社の承認

よくある書き方「甲は、必要な承認を得る。」
整えた書き方「甲は、クロージングの前日までに、会社法第136条の承認の決定を得て、その決定通知書の写しを乙に交付する。」

理由株式譲渡では、承認が効力の前提になる。承認の根拠条文と、通知書の交付を書く。

株券

よくある書き方株券については触れない。
整えた書き方「対象会社が株券発行会社である場合、甲は、クロージングの日に、本株式に係る株券を乙に交付する。株券が発行されていない場合、甲は、対象会社に株券の発行を請求し、発行された株券を乙に交付する。」

理由株券発行会社では、交付が譲渡の効力要件になる。未発行かどうかで、手続の順序が変わる。

株式譲渡契約書に書くことと、クロージングの書類

契約書に書く項目

株式譲渡契約書は、株式の売買契約です。事業譲渡契約書と違い、資産を一つずつ並べる必要がない代わりに、「何の株式を」「何株」「いくらで」「いつ」「どのような状態で」売るのかを、正確に書く必要があります。小さな会社の場合、契約書に書き落としやすい項目を挙げます。

株式譲渡契約書に書く項目(一般的な例)

  • 売買の対象:売主ごとに、対象会社の名称、株式の種類、株式の数
  • 対価:1株当たりの金額か総額か。支払方法、支払期日、振込先。税込・税別の別
  • 譲渡の承認:承認の根拠、取得の期限、得られなかった場合の扱い
  • 株券の扱い:株券発行会社かどうか、交付の方法
  • 名簿書換え:請求の主体、期限、必要書類
  • 売主の表明保証:株式の保有、株式に担保などの負担がないこと、発行済株式の総数、新株予約権の有無、会社の財産・契約・許認可・訴訟・個人データの状況
  • 補償:表明保証に違反した場合の損害の範囲、請求期間、上限
  • 前提条件:承認の取得、取引先の同意、役員の辞任届の提出など
  • 経営の引継ぎ:売主の役員としての地位、引継ぎ期間、報酬
  • 競業避止:株式譲渡には会社法21条のような法定の競業禁止がないため、契約で書く(競業避止のページ)
  • 代表者の個人保証・担保・会社への貸付金:解除・差替え・返済の方法と時期
  • 管轄・準拠法・協議

株式譲渡が事業譲渡と違う最大の点は、買主が会社の「過去」を引き受けることです。会社が結んだ契約、これまでの未払金、従業員との約束は、株主が替わっても会社にそのまま残ります。そのため、株式譲渡契約書では、表明保証と補償、価格調整の条項が重要な役割を果たします(表明保証の書き方のページ、補償と責任の上限・請求期間のページ)。事業譲渡で資産を選んで買うのとは、リスクの持ち方が逆になります。

小さな会社の株式譲渡で、特に見落とされやすいのが、売主個人の関わりです。代表者が会社の借入に個人保証をしている、会社の不動産に個人の担保が付いている、代表者が会社にお金を貸している(または会社から借りている)という状態は、小さな会社ではよくあります。株式を売って経営から退く売主にとって、保証や担保が残ったままでは、売る意味が半減します。買主にとっても、金融機関が保証の差替えを認めなければ、取引が実行できないことがあります。契約書では、保証や担保をいつまでに解除するのか、解除できなかったときに誰が責任を負うのか、売主が貸し付けている金銭の返済をどうするのかを、クロージングの前提条件として書きます。

また、株主名簿上の株主と、実際の持ち主が一致しているかも確認します。過去に名義を借りて株主名簿に載せた人がいる、家族の名義で持っている、といった場合、名簿上の株主が売主として署名しても、実際の持ち主が別にいれば、後から争いになります。売主の表明保証に「売主が対象株式の唯一の権利者であり、第三者が権利を主張していないこと」を入れ、株主名簿と株主ごとの持株数を、売買の前に突き合わせます。

クロージングで渡す書類

株式譲渡のクロージング(代金の支払と株式の引渡しを行う日)には、次のような書類をやり取りします。書類の種類は、会社の形態や定款の内容によって変わるため、前提条件の条項でも、確認できる書類として特定しておきます。

クロージングの日に受け渡す書類(一般的な例)

  • 譲渡承認の決定に関する議事録の写しと、承認通知書
  • 株券(株券発行会社の場合)
  • 株主名簿書換請求書(売主・買主の連署)
  • 更新後の株主名簿の写し(書換え後のもの)
  • 売主の本人確認と、印鑑に関する証明(契約の当事者性を確かめるため)
  • 取締役・監査役などの辞任届(退任する場合)
  • 代表者の個人保証・担保の解除に関する書類
  • 会社への貸付金・借入金の精算に関する書面
  • 代金の支払を確認する書面(領収書、振込の控え)
  • 引継ぎのための資料(定款、議事録綴り、契約書綴り、通帳、印鑑など)の受領書

取締役の変更など、会社の登記の手続は、クロージングの書類を受け取ったあとに行います。この手続の内容は、このガイドでは扱いません。契約書では、「辞任届を渡すこと」「必要な書類に協力すること」を売主の義務として書き、登記の手続の進め方は別に確認する、という分担にしておきます。

確認の問いと理由売主と買主が、株式譲渡の前に確認しておきたい問い

  1. 定款に譲渡制限の定めはあるか。

    あれば承認の手続から始めます。ないなら自由に譲渡でき、株主名簿の書換えが中心になります。

  2. 株券を発行する旨の定款の定めはあるか。

    あれば、株券の交付が効力要件になります。未発行なら、発行を求める段取りを前提条件にします。

  3. 承認の決議をするのは取締役会か、株主総会か。

    売主の定款で確認します。決議の日程と、議事録の様式を、売買のスケジュールに組み込みます。

  4. 買取りの請求は、するか、しないか。

    するなら、不承認の場合に株式が会社や指定買取人に移ります。買主に売りたいなら、承認される見込みを確かめてからにします。

  5. 株主名簿上の株主と実際の持ち主は一致しているか。

    一致していなければ、売主の資格に争いが生じます。名簿と持株の突合が必要です。

  6. 売主個人の保証や担保、会社への貸付金は残っていないか。

    残っているなら、解除と精算の方法を契約書に書きます。

起きがちなこと

株式譲渡の手続で起きがちなこと

  • 定款に譲渡制限があるのを知らずに売買を成立させ、会社の承認が得られずに、買主が株主として扱われなかった。
  • 承認を求めた株主の承認請求書に、買取りを請求する旨が書かれておらず、不承認の場合の株式の行き先が決まらなかった。
  • 株券を発行する旨の定款があるのに、株券を作っておらず、譲渡の効力が生じない状態で代金を払ってしまった。
  • 株主名簿の書換えを後回しにして、書換え前に売主の相続や別の譲渡が起き、誰が株主かが争いになった。
  • 株主名簿上の株主と、実際の持ち主が異なっていて、名簿上の株主が売ったあとに、実際の持ち主が権利を主張してきた。
  • 株式を買ったが、代表者の個人保証が残ったままで、売主が金融機関から請求を受けた。
  • 会社の未払金や簿外の債務が、買ったあとに出てきたが、表明保証も補償の条項も書かれていなかった。
  • 法定の競業禁止がないことを知らず、売主が近隣で同じ事業を始めた。

よくあるご質問

株式を売れば、会社の契約や許可もそのまま買主のものになりますか?

会社の名義の契約や許可は、株主が替わっても会社に残ります。株式を取得した買主は、会社の持ち主になりますが、契約や許認可を引き継ぐ手続は原則として不要です。ただし、契約に支配権の変更に関する定めがあったり、業種ごとの規定で株主や役員の変更の届出が求められたりすることがあります。個別の確認が必要です。

定款に譲渡制限があるとき、承認がなければ株式は売れませんか?

会社の承認を得ずに売買した場合も、売主と買主の間の契約自体は成立します。しかし、会社に対して、買主が株主として扱われるためには、承認が必要です(会社法136条、137条)。承認の手続が済むまでは、買主は株主名簿の書換えを請求できないなど、株主としての権利を主張できません(会社法134条)。

会社の承認が得られなかったら、どうなりますか?

売主が承認請求のときに買取りを請求していた場合は、会社または指定買取人が株式を買い取る手続に進みます(会社法140条)。買取りを請求していなかった場合は、株式は売主に残ります。契約書では、承認が得られなかったときの契約の効力を決めておきます。

株主名簿の書換えは、誰がいつ請求するのですか?

株式を取得した人が、株主名簿に株主として記載されている人(売主)と共同して、会社に請求するのが原則です(会社法133条)。株券発行会社では、株券を提示すれば単独で請求できる場合があります(会社法施行規則22条2項1号)。契約書では、売主の協力義務と書換えの期限を書いておきます。

株式譲渡では、売主は同じ事業を続けてもよいのですか?

株式譲渡には、会社法21条のような法定の競業禁止の規定がありません。契約に書かなければ、売主が近くで同じ事業を始めることを止められない場合があります。期間・地域・業務範囲を決めて、契約書に競業避止の条項を書いておく必要があります(競業避止と引継ぎ協力のページ)。

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